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藍住町議会・行政視察研修2019年7月30日~8月1日実施
北海道・音更町、本別町、芽室町への視察は議会改革、コミュニティバスの運行状況など行政職員・議会関係者から研修、意見交換などを行った。音更町の歴史や町の特徴、高齢者の移動手段として地域コミュニティバス等の推進状況は以下の通り。

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音更町は、明治13年(1880年)に岩手県人の大川宇八郎が定住したのを機に入植者が増え、明治34年(19 0 1年)音更ほか2村(然別、東士狩)に戸長役場が開設された。昭和40年代から北海道住宅供給公社や民間による宅地開発が積極的に行われ、帯広市に隣接しているといった地理的優位性もあり順調に人口は増加し現在、44,336人と北海道内の町村規模では最も多くの人口を有する町となっている。

音更町は北海道の東部、十勝平野のほぼ中央に位置し、南は十勝川を隔てて帯広市および幕別町、北は士幌町、西は鹿追町および芽室町、東は池田町に接している。広大で肥沃な大地に育まれた農業が基幹産業で、より優れた品質と生産性の高い農業経営を目指して、土地基盤の整備や農業技術の普及向上を図っている。なかでも畑作では小麦、小豆、大豆等が作付面積、生産量ともに全国でトップクラスである。

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雄大な十勝平野の中央を流れる十勝川のほとりには「十勝川温泉」があり、日本で唯一の植物性モール温泉と日高・大雪連峰をはるかに望む美しい自然環境に恵まれ、四季を通じて訪れる観光客でにぎわっている。陸路は、町を南北に国道241号が縦貫し、国道38号等と接続している。また、平成23年に道東自動車道の占冠~夕張間が開通し、十勝圏と道央圏が全面開通されたことから、アクセスが飛躍的に向上している。

空路は、とかち帯広空港まで約3 0kmの距離にあり、帯広一東京路線を定期便が就航している。

◆コミュニティバス導入の背景
町の公共交通機関を取り巻く状況は、昭和62年3月の国鉄士幌線の廃止をはじめとして、農村部における過疎化、さらには、マイカー利用の増大と少子化により、路線バスの廃止やバス便の減便など、交通体系が大きく変わりつつあった。

路線バスは、民間の2事業者が運行しているが、帯広市を起終点に放射状に運行されており、必ずしも町内間での相互移動の利便性は高くなかったことに加え、本格的な高齢社会を迎え高齢者や障がい者など交通弱者の足を確保するために、従来と異なった新たな交通サービスが求められていた。このような状況を踏まえ、農村部、市街地における地域生活バスの在り方や方向性を検討するため、平成10年6月に庁舎内に地域生活バス対策協議会を設置し検討協議を重ねた。

◆実証(試験)運行
実証(試験)運行を行うことで実際にどの程度の利用があるか、またどのようなサービスが求められているのかなどを調査し、効率的なコミュニティバス運行の可能性を探るごとを目的としで実施。
実証(試験)運行  平成12年4月から13年2月までの11か月間
事業効果調査(調査委託) 平成12年9月
※実証運行後、引き続き本運行へ移行した。

◆コミュ二ティバス運行の目的
①音更市街地、木野市街地に居住する交通弱者の公共施設の利用、通院、買い物等の足の確保。
②市街地における自家用自動車の増大に伴い交通渋滞の解消や交通安全対策を含めた公共交通体系の整備。

◆事業実施主体(運行者)
本町区域の路線バス事業者である北海道拓殖バスと、十勝バスが新たにコミュニティバス路線の許可を得て事業実施主体どなり事業者の責任の下で実施。

◆運 賃
運賃は1回100円(小学生半額・乳幼児無料)
回数券(11回分1,000円)を発行し車内で販売

◆運行内容
公共施設、医療機関と住宅市街地とを2台の小型ノンステップバスにより循環、1台は音更本町市街地方面を先に回り、1台は木野市街地方面を先に回る循環方式で、起終点である共栄コミュニティセンターを中心に8の字交互運行。(1月1日を除いて毎日3便×2台運行)
バス停留所は、住宅密集地区は概ね250mを目安に設置。その他の地区は住宅や各施設の状況により設置。平成28年10月1日現在118地点、218か所。

コミュニティバスの運行費用は、運賃収入と町助成金で運営(町の助成金は運行経費から運賃収入を差し引いた不足額を運行者であるバス事業者に対し助成)。

○実証(試験)運行に係る運行費用の一部は、国・道の補助金を受け実施。
○初期投資額

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・停留所標識及び設置費   3,979,500 円
・路線図及び時刻表印刷費   384,000 円
・コミュニティバス購入費  16,044,800 円 (2台)

車両及び停留所は、運行者に無償貸与。

◆車 両         
・小型ノンステップバス(コミゴニティバス専用車両) 2台
(日野自動車製「ポンチョ」) 平成22年2月更新(導入経費38,428千円)
・33人乗(座席18+立席15)
・町が購入し運行者に無償貸与
・しらかば号(緑色)…十勝バス   
・すずらん号(赤。色)…北海道拓殖バス
30年度運行経費の内訳
人 件 費  7,883,950 円
燃料油脂費 2,872,342 円
車両維持費 3,144,809 円
一般管理費 1,023,409 円
合 計    14,924,510 円

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音更町農村地域予約制乗合タクシーの運行概要

◆目的
音更町内の公共交通不便地域を解消し、町民の日常生活の利便性向上を図るため、
音更町農村地域予約制乗合クダシーを運行する。

◆本運行開始日
平成31年4月1日(月)
※参考:実証運行実施期間(日曜運休)
・平成29年度冬期…平成30年 1月~3月
・平成30年度夏期…平成30年 7月~10月
・平成30年度冬期・‥平成31年 1月~3月

◆利用対象者
次に記載する行政区(音更町の農村地域)に住んでおり、
一人でタクシーに乗降することが可能な人。(対象:82行政区)

○駒場地域(6行政区)            
○十勝川温泉地域(1行政区)
○農村地域東部(42行政区)
○農村地域西部(33行政区)

◆運行内容                         
利用者の自宅と「まちなか」を最長60分程度で運行する、予約制の乗合タクシー。
(1)運行事業者・音更タクシー有限会社          
(2)運行エリアについて・対象地域を次の2つのエリアに設定。
○エリア①(西エリア:39行政区)
○エリア②(東エリア:43行政区)

(3)運行日             
各エリアを週に3回運行。ただし、年末年始(12月31日や1月3日)の期間
○エリア①(西エリア)…1月曜旦、水曜日、金曜日         
○エリア②(東工ごリア)‥・火曜日、木曜日、土曜日
(4)乗降場所   
町内にある主要な医療施設、買い物施設、公共施設の最寄りのコミュニティバス停留所等から次の23か所を設定。
○音更タクシー前、エーコープ音更前、プロスパ6前、役場前クリニック、音更役場前、サンドーム前、温水プール前、保健センター前、総合福祉センター前ミ十勝勤医協柳町医院前、宏明館病院前、共栄コミセン前、文化センター前、図書館前、田中医院前、佐治整形前、徳洲会病院前、木野西通12丁目、鈴蘭郵便局前、おおや整形前、木野コミセン前、木野支所前、木野農協前

①予約の受付について
車両の乗車人数の上限や予約の状況等から判断して、先着で受付を終了する場合もある。
②増便について
運行ルートを設定した際、利用者の自宅と「まちなか」までの運行時間が60分を超える場合は増便対応とする。

◆利用方法について
①事前登録
利用を希望する人は、音更町に対して事前登録申込書を提出して、事前登録を行う。なお、これまでの実証運行で登録済の人は登録不要とする。(既登録者にはその旨別途連絡)

②予約(前日まで)                 
事前登録を行った人は、利用を希望する日の前日の午後5時30分までに、音更タクシーへ電話予約を行う。
③送迎時間の決定(前日)
音更タクシーは、予約の状況に応じて運行ルートを決定し、運行日前日の午後6時30分までに利用者へ送迎時間を連絡する。
④乗合タクシーの運行(当日)
○行きの便(自宅→「まちなか」)の場合
音更タクシーは、予約があった利用者のご自宅へ順番に迎えに回り、指定があった「まちなか」の降車場所まで向かう。
○帰りの便(「まちなか」→自宅)の場合
音更タクシーは、指定があった「まちなか」の乗車場所を回り、利用者のご自宅へ順番に送り届ける。        
◆運賃について
(1)運賃の考え方について              
○音更町役場と各行政区の地理的中心点と。の距離に応じて設定。
○路線バスと競合しないよう、バス運賃よりも高く設定。
○運賃区分は、上限額を1 , 0 0 0円と‥し、200円刻みで設定。

(2)運賃             
○片道600円 (45行政区)…役場から8km未満
○片道800円(17行政区)…役場から8km~1 2km未満
○片這1000円(20行政区)…役場から1 2km以上

(3)割引制度について
○65歳以上の運賃を半額に設定。                  
○小学生の運賃を半額に設定。
○未就学児の運賃を保護者同伴で無料に設定。なお、未就学児は事前登録不要。(予約は必要)

研修を終えて、コミュニティバスと乗り合いタクシー合わせての運行コストは年間約2,000万円。そのうちコミュニティバスについては国の助成等が9割受けられると説明、という事は、全体のコストは現在のところ約1,100万円程度となるので思ったより経費は掛からない。

音更町のコミュニティバス等、運用システムについて詳しく説明を頂き、多くの得られるものがあった。全国共通の課題、交通弱者に対して、それぞれ地域の状況は違っても確実に高齢者の移動手段が困難な環境になりつつある。高齢になっても気軽に出かけられる公共交通は生きる喜びを与える手段として不可欠な要素になっている、この度の研修を大いに参考にさせて頂き本町でも暮らしやすいまちづくりを推進していく決意で取り組んでいく。