藍住町議会・熊本・鹿児島・視察研修

菊陽町

藍住町議会・視察研修報告。
・26年2月17~19日の日程で議員14名・議会事務局長・石川町長・計16名で熊本県菊陽町、鹿児島県指宿市への行政視察を行いました。菊陽町での研修内容は地域コミュニティの活性化について・農業振興の取組みについてなどです。

・17日13.30菊陽町役場に到着。大塚昇議長の歓迎の挨拶の中で、菊陽町は熊本市の北東部に位置し雄大な阿蘇に源を発した白川中流域の平坦地に有り総面積、37.57キロ平方メートル、人口37,900人の都市化が進む町。近年ではH4年に菊陽バイパス(国道57号)が全面開通、国体関連道路等の開通などの道路網が整備された。

・また、町全体を見立てた、ガーデン・サバーブふれあいの里づくり事業の中心施設の公園や温泉施設が完成し都市的地域と農村的地域の交流を図っている。さらに熊本テクノポリス計画の中心を成す第二テクノパーク内に世界最先端のIC関連企業の進出などにより雇用拡大などで急速に人口増加が進んでいる、それに伴って新住民の多様な考えを持つ人達とのコミュニティの強化に取り組んでいる。また菊陽人参は国指定のブランドとして全国的に有名な人参として知られ農業振興の根幹を成すものだが年々後継者不足も懸念されていると説明を受けた。

住民の代表と各機関10名からなる「菊陽町コミュニティ検討委員会」の意見書を提出している、地域コミュニティの推進については自治会活動の活性化・充実に向けて各種活動主体間の交流連携を促し、それぞれの活性化を図るとともに、地域の資源やノウハウを結集し、より効果的に地域の課題解決や福祉向上に取り組んでいくための仕組みの一つとして、小学校区単位を基本とした地域コミュニティ協議会の設立を検討する必要があり、町行政は、常に地域コミュニティに関する情報を収集・発信し、地域との情報の共有を進めるとともに、地域に対する支援に努め、地域においては、自治会と地域コミュニティ協議会が、連携を密にし、お互いの役割分担のもと、活力ある地域コミュニティを形成していくとしている。

・説明の内容から、町行政のスタンスは地域の防災、安全対策や福祉活動など自治会を主体として機能させコミュニティの強化を図り住民協働の活性化を目指していることが分かる。
そして、住民には、自分たちでできることは自分たちでの自覚と責任の共有により、行政の効率化、経費削減に繋げている、その見返りとして一例をあげれば、町に住居を構えた人には100万円、アパート等入居者に20万円のプレゼントなどの政策も住民協働の成果に表れている。

・農業振興の取組については、菊陽町農業女性アドバイザー認定制度の活動が紹介された。
・農業・農村の発展に女性の視点を活かす取組が平成6年から始まった。農業経営対策方針決定の場への参加や女性の農業経営の参画に関する助言、先進地研修等。パワーアップカフェ、熊本県アドバイザーネットワーク会議等ではコーヒーの入れ方講座等多彩な活動を行っている。後継者不足が懸念される中、女性の活躍で農業の魅力を町の誇りとし懸命に取り組む様子が伝わってきた。


指宿市

18日、指宿市役所訪問。

視察内容は「道の駅整備事業について」PFI方式による地域交流施設の整備、運営。道の駅いぶすき「彩花菜館」の現地視察を行いました。18日午前10時前に到着。

・指宿市議会議長・新居領進議長歓迎の挨拶で指宿市の魅力について説明を受けた。
・指宿市の概要は平成18年、それまでの指宿市、揖宿郡山川町、同郡開聞町が合併し新指宿市が設置された。薩摩半島の最南端に位置し面積149平方キロの花と緑にあふれた食と健康のまちである。

・東は錦江湾を隔てて大隅半島と相対し、北は県都、鹿児島市、西は畑作地帯が広がる南九州市と隣接している。南は東シナ海に臨み、中央部には九州一の大きさを誇る池田湖、南西部には標高924mの開聞岳、南部には南国ムード漂う長崎鼻、東部には潮の干満で陸続きになる、環境省の「かおり風景百選」に認定された知林ヶ島を有している。

・市の全域を霧島火山脈が縦断しており世界に類を見ない「天然砂蒸し温泉」をはじめ、豊富に湧出する温泉に恵まれて、観光資源の大変豊かで温暖な南国ムード漂うすばらしい地域である。

・地域交流施設「道の駅整備事業計画」は、農産加工組合、地域の漁業者、市民まちづくり委員会、市議会商工会議所など市民、地域からの要望で計画された。検討される中で、民間活力の積極的な導入を図ることによって、民間の有する各種のノウハウや良質なサービスが提供される可能性が高く、最も地域振興に寄与できるとの考えからPFIの導入を推進した。導入に向けての調査による分析結果、公共側指数(VFM)24.41%の削減効果があることが分かった。

・事業方式は・BTO方式。民間事業者が設計建設し建設完成後に所有権を指宿市に移転し、事業期間中民間事業者が維持管理運営を行う。事業期間中、市は民間事業者に施設を有償で貸与する。

・事業形態・サービス購入型(一部独立採算型)
地域交流施設の設計、建設にかかる費用を事業期間中、割賦方式により事業者に支払う。
・地域交流施設の維持管理・運営業務・都市公園の維持管理業務及び道の駅維持管理業務にかかる費用を事業期間中、事業者に支払う。
・特産物販売業務における委託販売及び情報発信業務にかかる費用の一部について事業期間中、事業者に支払う等。

PFI事業の最大のメリットその1は、一度に多額の財政負担が発生しない。
公園の敷地内に民間が自らの資金で地域交流施設を建設し、完成後すぐに所有権を指宿市に移した後、その運営を行う。

・市は地域交流施設の建物代金と道の駅維持管理・運営費を15年分割で民間に支払う。これによって完成年度に一括して全額を支払う必要がなくなるため、その分ほかの事業費に回すことができる。民間事業者は、自主運営事業の収益、特産品の販売手数料、指宿市からの公共サービス提供料を収入とし、15年間にわたり事業を展開する。

PFI事業メリットその2は・事業費の削減、道の駅をこれまでの公共事業方式で整備、維持管理、運営した場合とPFI事業で行った場合と比べるとPFI事業のほうが15年間で約1億766万あまり(約37%)もの経費の削減が期待できるとしている。

PFI事業のメリットその3は・多くの民間の創意工夫やレストランの運営というような業務は、行政より民間が得意とする分野である。
民間事業者の類似事業で経験や経営ノウハウを生かすことにより、利用者に対してはサービス水準の向上が、生産者に対しては集客量の増加による生産意欲の向上が期待され、さらに地域活性化への波及効果も期待されると説明された。

・そのあと「道の駅いぶすき、彩花菜館」を見学。そこでの昼食は新鮮で豪華な海鮮丼をご馳走になった。店内は工夫を凝らしたたくさんの特産品がならび、めずらしい地元でしか手に入らない物もあり大勢の買い物客でにぎわっていた。

・民間のアイデアによる新商品開発事例では、地元特産品のびわを使った「びわソフトクリーム」・地元特産品のパッションフルーツを使った「パッションソフトクリーム」また出荷者が持ち込む朝どれの鮮魚や果物、野菜などを使った「刺身定食御膳」・薩摩焼の器を使い・ベルギー産チョコレートに焼酎を練りこんだバレンタインチョコレート「燃ゆる想い」を製造販売。など年々売り上げを伸ばしているとのこと。

・道の駅整備事業は住民との協働を基本に民間事業者の協力もあって、地域交流の場や観光客にも喜ばれる素晴らしい施設として完成している。全国的に更新時期を迎えた公共施設等の更新については財源不足の共通課題がある、国は防災対策など公共施設の更新等については「民間活力を積極的に活用」と推奨している。

・菊陽町の取り組みは模範的な例として大いに参考になる。藍住町の福祉施設は老朽化、耐震性の低下などからも早急な課題となっている、PFI事業導入についても検討することになっており、国からのアドバイザー支援や福祉センター周辺整備事業の検討委員会等の設置も急ぐべきである。

・今回の議会議員研修では、それぞれの地域の特性を最大限活かして行政と住民協働のまちづくりを目指すことにより地域の魅力が無限に広がる可能性があることを学んだ。

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